2019.12.30
昨日の打ち合わせで、こんな話が出ました。
その通りだと私も思っています。いろいろなキャラクターがいて、いろいろな方法論を持っている人がいて、それで組織は成り立ちます。たとえば、Sアカデミーの英語講師の中で、私はいちばん英語に対しては「いい加減」でしょうし、言語学的素養はいちばん低いことは間違いありません。
私と同じ感覚ではなくても、「生徒の話を聞く」「生徒に共感する」「生徒の成長をサポートする」という意識を持った人でなければ、講師は務まりません。これは、塾予備校や学校など、すべてに当てはまるでしょう。この軸さえあれば、教師は成長できるはずです。
そういう先生方のご協力を得て、来年度もSアカデミーは「サイズは小さいが、授業は充実している塾」として、若者の学習をサポートしていきます。
来年度に向けての体験授業のお知らせです。
すべてが授業として15人までの少人数授業になります。
どの先生方の授業も、自分が高校生だったら受講したいと思うものばかりです。合格への最短ルートは、ご自宅からJR京葉線の海浜幕張にあるSアカデミーまでのルートです。
2019.11.27
『短文で覚える英単語1900」の高校生版を作っています。実はもともと、この本は高校生のための基礎教材として作ったのですが、営業上の理由で「高校入試」となってしまいました。中学生用の教材とはいえ、次のような高校生にぴったりです。
皆さんが、難しい問題を行いたい、「大学入試に相応し」単語帳を使いたいという気持ちはよく分かります。しかし、勇気を持ってここから始めて下さい。
この教材は、「まぁ、とりあえずやってみようよ」とふんわりとした作りになっています。卓球でいうなら、次のような流れです。
これは、そんな教材です。
「インターハイに出場するような力(難関大学に合格する英語力)」はつきません。でも、そのための基礎力は間違いなくつきます。
できるだけ早く300文を暗唱し、次のステップに進んで下さい。次のステップは『英文法基礎10題ドリル』がお勧めです。
最初の15ページは、「ラケットの握り方」です。とても大切なところです。そして、16ページ以降は、名刺のグループは□で囲み、前置詞句は( )でくくり、日本語にした上で、何度も音読をし、暗唱して下さい。大切なことなので、もう一度書きます。意味を理解した上で、自然と暗唱できるように、とにかく音読して下さい。
2019.11.19
ここ数ヶ月、引っかかっていたことがあります。
3月にいわれました。
なるほど。今になって思い返すと、物事を合理的に考える先生方もこんなことを言っていたなぁと。
「勉強をする生徒」は、目標が明確だったり、実際に行動ができるほど、自分の心の中に何か動くものがあったりする傾向があります。先生方は、勉強を教えることが仕事ですから、見つめる方向が同じになります。「こうすれば勉強はわかるようになる」「こう解けばいい」「このように考えればいい」。サンテグジュペリではありませんが、同じ方向を見つめていれば、共通の言葉は見つかります。
その一方で、「勉強をしない生徒」は、目標が明確(この表現もあまり好きじゃないけど)でなかったり、心の動きと行動とにすれちがいがあったするので、表面的には、怠けているように見えてしまう。教えたい人が、教わりたくないと(表面的には見える)人に対して、何かを教え続けようとすることは、無力感の連続です。そのため、何を教えるか、何を目標とするかを現状に合わせていかなければなりません。生徒の心の動きが行動に結びつくことを待たなければならず、先生にとっては「行動の成果」がわかりにくいので、どこかで自分の心を納得させなければ行けません。
だから、「教育の成果はいつ出るかわからない」ということばがあるのかなぁ、と。
「共感できる」「待てる」が学校だろうが、塾予備校だろうが、ひとり一人の生徒をイメージできる先生方には必要な資質だと思います。外科医が器用でなければいけないのと同じ資質かな。そして、そういう先生だけが「成果はいつ出るかわからない」という言葉に対して、説得力を与えるのでしょうね。
2019.11.13
ずーっと前から書いているし、ずーっと前から考えていることだけど、久しぶりにまたぼーっと考えることがある。
私は「違う」と思います。同じようにいわれたからといって、同じように理解するわけでもないし、相手に心を開くわけでもありません。これはどんな人間関係でも同じです。
もちろん、「そんなことない」という人と「正しさ合戦」をするわけでもありません。そう思う人は、そう思えばいいし、そのような行動をすればいい。ただ、人間関係はもっと「泥臭い」と私は思うだけです。相手の「暖かさ」は大切です。
その「暖かさ」とは、生徒に対する「共感」ができることです。「共感」できるから、相手を励ますことができるし、辛くなったときに勇気づけることができる。「共感」できない人は、相手の調子がいいときだけ教えることができる。
「共感」できる力を持っている20代はすごいなぁと心から尊敬します。
2019.11.12
ありがたいことに、9月に50歳を迎えることができました。20代の時には自分が50歳になるなんて想像もしていなかったんですが、なってしまいました(笑)
30代で「共感」「観察」できるようになり、40代は「聞く」ことができるようになりましたが、50代では何ができるようになるのかが楽しみです。
「共感」「観察」「聞く」ということが、今の立場にはプラスになっています。生徒という人間に対する敬意が「共感」の根本にあり、プロとしての意識が「観察」であり、大人としての知恵が「聞く」なのではないかなぁと。
2019.11.06
入試問題でよく出てくる「整序問題」、いわゆる「並び替え」には2つの狙いがあると思います。
ひとつ目は、文法力(英作文力)を測るという「正統的狙い」です。文法や「熟語」が分からなければ整序問題は解けません。
もうひとつは、「HP削り」のような気がします。
受験生にとって試験時間はHPです。並べ替え問題は、それが解けそうで解けないときには、パズルのような面白さがあり、のめり込んでしまいます。そのため、気づいたときには残り時間が少なくなっているというケースもしばしばあるでしょう。英語の得点が伸び悩んでいる中高生は、特にこの傾向があります。
整序問題を繰り返し、HPが削られないようにしましょう。
2019.11.05
英語民間試験の導入が延期となりました。正直、ホッとしています。
そもそもの制度設計が無理筋だっただけでなく、それが受験生にとって大きなマイナスになることが火を見るよりも明らかでした。今の政権を選んだ成人がひどい目に合うのならそれは自業自得でしょうが、大人が選んだ政権で、若者が不利益を被る構図はいいものではありません。
実施延期をすすめてきた多くの関係者の方に心から敬意を表します。
それだけではありません。
現高校2年生から実施される予定である「共通テスト」もかなり無理があります。
その中でもいちばんの問題は「記述式問題」である。これは問題が山積していますけど、あえてひとつに絞ります。
面接でさえ、「公平性」には疑問が残ります。しかし、面接を行うのはそこの学校の先生なので、覚悟を持って行っています。しかし、共通テストの採点はアルバイトです。模試なら、「これは採点ミスだね」で終わることもできますが、本番の試験で「採点ミスだね」は許されません。
「採点します!」と手を挙げたベネッセは、いやぁ、よく手を挙げられたなぁと。無理な道を突き進んでいるベネッセはどうなっていくのか深く心配しています。
2019.10.04
危機感を煽られて、子どもにプレッシャーをかけすぎているのでは?
友人から受けた「受験相談」でそう感じました。はっきりいってしまえば、危機感を煽っているのは、学習塾だったり、時にはメディアだったりします。同じような状況が日本中にあるのではないかと思い、昨日の電話で友人に話したことをブログにしてみます。
学習塾は売上をどのように上げるか=どれだけ受講させるか、授業を取らせるかがいちばんの課題です。大手は上場企業ばかりですから、株主総会では「前年比、売上が○○%アップしました」ということが大切な報告でしょう。業績=売上がアップしなければ、株主から取締役は選任をされないから当然のことです。その取締役の中から、代表取締役は互選で選出され、会社のトップとなるので、会社全体は売上高が大切になります。もちろん、私たちも会社が存続するための売上は大切にしていますが、利益は貪ってはいないという自負はあります。
メディアもそうです。センセーショナルな書き方をすれば、雑誌は売れます。皆さんのお子さんの個性のことなんて、全く知りもしない記者が、お母様たちに「お得な学校」だとか、「入試はこう変わる」なんていってくるわけです。「いい学校」としての思い出は、「いい友人と担任」がいちばん大切なのでは?
学習塾もメディアも、皆さんのお子さまに責任は持ってくれません。学習塾や予備校のスタッフが、教育学を学んでいて、発達心理学を学んでいる人なんてほぼいないのでは? エリクソンのライフサイクルを知り、アドラー心理学に精通し、自分なりの人間観を持っているようだったら、危機感をあおり、「この講座もとれ」「これも必要」となんていえるはずもありませんよ。良心に反して、仕事なんてできません。それが、教育という仕事です。
学校の先生への不信感をお持ちの方もいます。確かに、一昔前のメディアには教員は楽で、てきとーに仕事をしているような書き方もされていますよね。しかし、公務員から、会社(従業員50人規模)の中小企業の社長になった私は、民間の人よりも、学校の先生の方がよっぽど人間的に信頼できる割合は多いと感じています。学校の先生は本当にまじめです。
授業に対する不安もお持ちかもしれませんが、大学で専門科目を学ぶだけではなく、教科教育や心理学、教育学を学ばないと教員免許状はもらえません。誰しも、最低限度の基準はクリアし、そこから教える技術の「上乗せ」をしている人が少なくありません。だから、学校の授業(今は中学校の先生をイメージしています)をもっと信用してください。
だからこそ、ちょっと立ち止まってください。
受験は、困難を乗り越えるという意味では、お子さまの成長にプラスになります。その一方で、重すぎる課題を与えてしまうと、成長にマイナスになります。どの程度の課題が適切かは、生まれたときからお子さんを見てきたお母さんがいちばんお分かりではないでしょうか? いい結果の時も、悪い結果の時も、同じようにお子さまに接して、その挑戦を称えた方が子どもの成長にはプラスになると思います。
シロウトから危機感を煽られて、親子とも傷ついていくのは、残念なことです。
多くの子どもと接してきて、20年前に比べて、今の子どもたちは優秀だし、社会規範が高いと私は思っています。今まで、よく育てられましたよね。生まれてから、固形食を食べるようになり、歩けるようになって、おむつも外れていく。いろいろな課題を子どもたちはそれからも乗り越え、思春期を迎えています。
子どもの人生は子どものものです。親の世代である私たちも、自分たちの親が望むような人生を歩んでいる人は極めて少数ではないですか?それでもなんとかこうやって生きていますし、「ちょっとした幸せ」を感じるときだってあるはずです。であれば、お子さんの人生はお子さんのものとして、前のめりになりすぎず、立ち止まって、コーヒーやお茶でも飲んでみましょうよ。
2019.09.11
東京都内の「御三家」に通う高校1年生のA君から、「ボランティアが学校の夏休みの課題なので、福祉施設を紹介してもらえないか」と相談を受けました。こういう相談はそれなりの件数があり、今まで数人を障がい者施設や介護施設につなぎました。ただA君には、生活に困窮している人たちを支援する経験が彼にはプラスになるだろうと思い、A君に講師のMさんを紹介しました。
「生活困窮者自立支援法」という法律に則り、市町村には生活困窮者の職業的自立や借金の相談、DVの被害など「よろず相談」の場所があります。数学の講師のMさんはそこで相談員として働いています。
公立中学校の先生や、公立高校(底辺校)で働いている先生方にとっては「日常」となっている景色は、あまり知られていません。
など、「そんなこと、マンガの世界じゃないの?」と思っている人も少なくありません。「生活困窮者自立支援法」が施行されるまでは、民生委員や地方議員、時には学校の先生がこのような課題をサポートをしていました。そして、「お金にならない仕事」として割り切って協力してくれた弁護士の先生方もいます。
将来は法曹界に入りたいと思っているA君にとって、障害者施設や老人ホームよりも、このような生活支援のボランティアはよい経験になるかと思い、Mさんに紹介しました。
3日間にわたるボランティアを終え、とても「今まで知らなかった経験ができた」と「見えなかった事実」を知る体験ができたことは彼にとってよい経験であったことは顔つきから分かりました。「片付けられない人」のサポートや、動物の多頭飼い(100匹以上)など、課題を持っている人々にはそれなりの理由があり、表面的なサポートではなく、お金の使い方など生活習慣から見つめていくことから始まります。A君の経験は自宅でも話題となっていたようで、保護者の方からも丁寧なお手紙をいただきました。
Sアカデミーの原点は、学力はもちろん、人間的な成長のサポートをすることです。そして、若者の成長を願う講師と、そこで成長をしていく生徒との空間を作り出したいと思っています。どんなに多いクラスでも10数名ですから、講師も一人ひとりに目が行き届き、生徒の成長が見えてきて、成長のためのハードル=課題が見えてきます。その課題を乗り越えるサポートが講師の仕事なのだと私は思っています。
Sアカデミーは、大手予備校とは違い、学力だけを上げればいいと思っていません。学力サポートだけでなく、人間的な成長もサポートしていきます。
2019.08.20
学校長を務めた人の中には、退職したあとの話が興味深い人が少なくない。「教育とは本来、『保守的な営み』だ」と私に話してくれた先生もそんな元校長先生でした。
「保守とは、今まで先人が築き上げてきたことを、さらに発展させていくことだ。そうすると、国力が豊かになる。国力が豊かになれば、みんなが幸せになれる」
数年前のことかなぁと思って数えてみると、もう20年近く前のお話でした。年齢とともに、時間が過ぎるのは早くなりますね。
あの頃は、学力の高い生徒、はっきりいってしまえば、偏差値が高く、ポテンシャルのある生徒をどうやって伸ばしていくか、というお話ばかりでした。どこにいっても、そんな話題。リメディアルなんて言葉さえ、聞いたこともない時代です。今よりも18才人口も多く、大学も「できる生徒」を見ていれば、なんとか経営できる頃だったでしょう。
ちょっと話がずれましたけど、「国力」というのは、一人ひとりの教育的水準の「積分」だと思います。誰かしらが突出しているだけでなく、「底上げ」(あまり好きな言葉じゃない)もそれ以上に必要です。
「底上げ」に必要なことは、2本の軸があります。X軸は「しっかりと教える」、Y軸は「モチベーションを上げる」ということです。どちらに比重を置くかということは、学習者によります。
私は教員時代に、そして立場が変わった今でも考えているのは、Y軸です。
Y軸は、教授者の人となりが出てくる。「あの先生の元で勉強してみたい」と思わせるのは、Y軸です。それが、「励まし」だったり、「成績の上昇」だったり、「今までぼやーっとしていたことが腑に落ちた」だったり、マニュアルがないほど、これは「相性」の問題というか、教授者の教育哲学と生徒のニーズとのマッチというか、マニュアル化できないところです。そして、教育の教育たるベースはここです。
Y軸の伸ばし方というのは、中学校の先生が上手なんじゃないかな。以前に「プロフェッショナル」で放送されたときの田尻先生は、生徒と話し、遊び、とことん付き合っていく場面がありました。奥住先生も、授業見学に伺ったときには、生徒の話をよく聞き、遊び、付き合っておられました。おふたりの授業は、日頃のそいういう信頼関係の上になりたっているのでしょう。
「大人が、真剣に自分に付き合ってくれた」という経験は、かけがえのないものです。それがY軸の原点なのではないかな。