2025.04.02
英語長文読解について新規入会の高校生から、「長文読解と全文訳とはどう違うのですか?」という質問を受けました。確かに私の授業は全文訳とはちょっと違うので、具体例を出して紹介します。
この文章が題材ならば、何をテーマとするかを講師は考えます。たとえば高校1年生上級を意識して文法を中心に据えるなら、つぎのような視点です。
ただこれだけだと、長文読解なのか「複数の1文解釈」なのか分かりません。そのため、文と文との繋がり(cohesion)や、段落・全体のまとまり(coherence)を意識させることが大切になります。
この文章は4文で成り立っていますが、この「つがり(結束性)」と「まとまり(一貫性)」は次のようになっています。
◎つながり(結束性)
【指示語】(指示語や言い換えは、表面的な単語のつながりを作る重要なヒント)
【接続語】(接続表現によって、文の関係性(理由・対比・目的)が読み手に明確に伝わる)
◎まとまり
1文目で述べられる、「生徒が楽しみにしている学校行事(sports & cultural festivals)」が段落の中心話題(theme)です。それが次のように展開しています。
このような視点で長文読解をした後で、生徒は宿題として音読をします。1日5回で30回。しっかりと音読をしたかどうかをcloze testで確認します。
In many Japanese schools, students look ( 1 ) to two special events every year: the sports festival and the cultural festival.
These festivals are important ( 2 ) they give students a chance ( 3 ) show their talents and work together.
( 4 ), some schools have ( 5 ) that fewer people come to these events ( 6 ) before.
( 7 ) ( 8 ) make these festivals more exciting, students and teachers are ( 9 ) of new ( 10 ) to attract visitors.
長文読解とは1文1文を訳すだけでは、長文を読むスピードはつきにくいし、文章を最後まで読んでも内容が頭に残りにくいのです。
2025.03.04
教育の専門家なら、「効率的な学習」など存在しないことを知っています。本当にそんな方法があるのなら、誰も学習に苦労することはありません。もし「効率的な学習法」が確立されているならば、すでに私立学校が導入し、素晴らしい実績を上げているはずですし、教育界に革命が起きているでしょう。しかし、そのような事実はありません。つまり、「効率的な学習」というものは存在しないのです。
学力を向上させるための唯一の方法は、質の高い授業を受け、しっかりと自習することです。内容を深く理解し、繰り返し学習することでしか学力は伸びません。もちろん、中には天才的な人もいるかもしれませんが、私のような普通の人間にとって、それ以外の方法はないのです。
当塾では、教育課程をしっかりと踏まえた授業を提供し、集中して学習できる自習室を用意しています。本気で自分の力を伸ばしたい皆さんをお待ちしています。
2025.03.03
この3月が終わると、弊社の代表取締役に就任して10年になります。弊社の取締役の任期は10年間。そのため、次の任期は私にとって最後の任期となる予定です。
Sアカデミーを創設したのは、就任2年目の夏のことでした。当時は「良い授業をすれば生徒は集まる」と信じていました。しかし、すぐにそれだけでは不十分だと気づかされました。どれほど質の高い授業を提供しても、それを知ってもらわなければ生徒は集まりません。しっかりとPRし、存在を知ってもらうことの大切さを実感しました。
「味にこだわるラーメン屋は長く続かない」「一番売れているハンバーガーが必ずしも一番美味しいわけではない」。この考え方は塾にも通じるものがあります。こだわりが強すぎると、継続することが難しくなるのです。
だからこそ、自分のこだわりをある程度手放しました。ただ、それでも「教育」に対するこだわりだけは捨てることができません。常に「教育とは何か」を考え続けてしまいます。
人生は、自分で決断するからこそ、その責任を引き受けることができます。だからこそ、受験勉強や志望校の選択も、生徒自身が決めるべきだと私は考えています。
たとえば、高校生が授業を取捨選択する場面、たとえば志望校を決める場面。私は「決定のための材料を提案し、最終的な判断は生徒自身に委ねる」という姿勢を大切にしています。尋ねられればアドバイスはしますが、決断はあくまで本人が下すもの。これが、Sアカデミーの指導方針です。
志望校に合格したから幸せになるわけではないし、不合格だったから不幸になるわけでもありません。人生は長く、何が起こるかわからない。晴れの日もあれば、雨の日もある。大人になれば誰しも気づくことですが、「勝ち続けることは不可能」であり、「負け続けることもない」のです。お金で不幸を回避することはできても、幸せを買うことはできません。
人生は長いようで、振り返ればあっという間。しかし、何も考えずに過ごす時間は驚くほど長く感じます。成功よりも、失敗から学ぶことの方が多い。だからこそ、私はSアカデミーを「学力を伸ばす場」であると同時に、「失敗しても『ナイスチャレンジ!』と応援される場」でありたいと願っています。成功すれば共に喜び、失敗しても成長につながる。そんな環境を提供したいのです。
だからこそ、自習室にもこだわりました。「自分で学び、自分と向き合える場所」。それを用意することが、学習塾としての私たちの責務だと考えています。
こうした考えは、学習塾業界においては理想論かもしれません。それでも、私はこの理想を貫きたいのです。
当塾では、卒塾生が学生スタッフとして3年間ほど活躍してくれています。彼らは塾で働くだけでなく、自分が挑戦したいことにも取り組める環境を提供しています。生徒として成長し、学生スタッフとしても成長し、そして社会へ羽ばたいていく。これこそが、私が思い描くSアカデミーの理想形であり、今のところ、その形を実現できていると感じています。
現在、新年度の生徒を募集しています。学力だけでなく、人としても成長できる環境で、一緒に学びませんか?
Sアカデミーでは、学ぶことだけでなく、社会とのつながりを大切にしています。その一環として、当塾の学生スタッフが、3月16日(日)に投開票を迎える千葉市長選挙において、神谷しゅんいち候補(現職)の出陣式でメッセージを発表し、「頑張ろうコール」を行いました。
その様子を動画にまとめましたので、ぜひご覧ください。
2025.02.16
「保護者雑談会」ということで、週末に保護者の方とお話しをする機会を設けています。気楽にどうぞ、ということで雑談会です。
保護者の方と話していると、「学校でないのでここまでお話ししていいのか分からないのですが」という枕詞の後に、お子さまの成長についての相談があります。人間関係や親子関係、子育ての悩みなど学習以外のことです。こういう相談も当塾は歓迎しています。全ての相談を解決できるわけではありませんが、しっかりとお話を伺うこと、そして配慮できることは最大限に配慮します。
子どもの成長にとって勉強は大切なことですが、健やかな心も大切です。
2025.02.06
Sアカデミーの自習室のトイレの話です。
トイレ掃除は基本的に私の仕事なのですが、当塾の自習室のトイレはいつもきれいです。いや、掃除が行き届いているからというわけではなく、用を足した後に中高生がきれいにしてくれるのでしょうね。昨日の清掃前のトイレです。
このように汚れていないのです。これは男子トイレですが、「水はね」もないのです。これは、当塾に通う生徒さんは家庭教育・家庭のしつけを受けているからでしょうね。
ちなみに、自習室の掃除機掛けはチューター服部君のお仕事でした。
2025.02.04
亡父が建てた家が貸せることになりそうです。地元の不動産業者に行くと、こちらの思いを考えずに「壊して新しく家を建てる」というご尤なお話をいただいたのですが、「この建物は○○として貸したらどうですかね」と提案してくれる他社と出会えたことがハッピーなことでした。ありがとうございます。
民間業者だから自社の利益を最大限にしたいという気持ちも分かるものの、素人の私でもできるような提案をしてくるプロってなんなのかな。まずは顧客の思いを聞いた上で、無理かもしれないけどその思いが成就するようなことを考えてほしかったんですよね。結果的に「壊して新しい家」というのなら分かるのですが、ブレーンストーミングでも構わないので考えてほしいというのが私の気持ちでした。母子家庭で育ち、「マイホーム」を夢見ていた亡父が建てた家をモノとして見られることが感情的にどうしても辛かったのです。
これは学習塾でも同じです。
学習塾・予備校は民間企業です。だから自社の利益を最大限にするということはよく分かる。上場企業であればなおさらでしょう。でもね、当塾は生徒や、その生徒が生まれてきたときから「大切な存在」として育ててきた保護者の方の思いを大切に受け止めたい。その上で、提案したり、勉強を教えたり、注意したりしていく学習塾でありたいと思っています。
さて、下記の日程で体験授業があります。お気軽にご連絡ください!
2025.01.14
学校の先生の条件が悪くなり始めて30年です。今年で56歳になる私が教師になった25歳の時がいちばん条件が良かった。当時は土曜日も隔週で授業があったし、生徒のヤンチャ度も高かった。「特業」と呼ばれた土日祝日の部活動手当(教員特殊業務手当)も、500円だった(交通費込みで1日500円) でも妙な締め付けもなく、教員の裁量も高く、退職金は一般の先生で3000万円を超えていた(伝聞)みたいだし、年収も定年近くなるとほぼ1000万円はあった。
その後に「給与のフラット化」という名前で給与が減らされ、退職金も計算式を変えることで抑えられ、さまざまな「研修」が増え、教師の裁量は減ってきた。条件が良くなったのは3,000円くらいにアップした「特業」くらいかな。労働条件が悪化してきていることは誰も否定しないだろう。
それに士気が落ちてきてる。士気が落ちてきている理由を兵卒に求めることはアホなことなのに、そのアホなことをしている匿名の人々がいることがさらに士気を落としている。教員批判をして、「そうだ!しっかりと働こう!」とでも思っているのか。アホな行為に反応する教育関係のエライ人もアホなのだろう。
また、校長の中には現場の士気を下げる人もいる。現場を見ず、県教委からいわれたことをメッセンジャー的に伝えてくる人もいる。そもそも論だが、経済的なリスクを背負わないポジションに高度な経営責任などあるはずがないのに、校長という立場になると高度な権限を持つと勘違いしてしまう人がいることも残念なことだ。
教員として働く環境はあまりいいものではない。給料も高くない、残業代も出ない長時間労働、権力欲の強い管理職。大学で教育学や教科教育、心理学、憲法、教育原理や哲学を学び、教員免許状をとり、ようやく教員になったと思ったら、待っていたのが劣悪な労働環境というのでは本当につらいですよね。
とはいえ、社会のインフラの基本は教育だ。大人が字を読めること、文章を理解できることを「普通」にしているのは教育だ。また、リーダーの原型は小学校の班長だ。クラス長のような立場ではなく、班長や修学旅行時の「部屋長」という2~4名程度の小さい単位のリーダーの経験は、社会でのリーダーの原型になる。集団作りという大切な経験は学校でしかできない。学校でもたいへんなのに、いわんや生徒集めのノルマに追われた塾や予備校で集団作りはできない。
子どもにとっての「居場所」は大切だ。人生は春夏秋冬の順番ではなく、多感な時期に冬を経験する子どもも少なくない。そういう子どもたちにとって自分の教室が居場所であれば、どれだけ救われるか。担任が話を聞くだけでどれだけ気持ちが安定するか。これも、塾や予備校ではできないし、進学実績をメインに考えている学校でもできない。
集団作りや居場所作りのベースに教科教育を考えるのが学校の先生だ。教科が分かったところで、人と人との間を耕せなければ意味がないし、教育を考えることで教科を軽視することは仕事として不十分だ。学校での「雑用」以外に、労働条件としてはブラックの中で、教育と教科の両輪を身につけて、実践していかなければいけない。本当にたいへんな仕事です。
ただどうしても必要な仕事で、みなさんのような優秀な人、具体的にいえば平均よりも「上位」にいる人が就かなければいけない仕事が公立学校の先生という仕事だ。日本という国が持続可能であるためには、みなさんのような人が先生になってほしいと、教員の労働環境の悪化をさせてしまった世代のひとりとして申し訳なさを感じながら、思っています。
2025.01.11
身も蓋もないですが、「○○すれば学力が伸びる」という魔法などありません。著名な人に教えてもらおうと、売れている参考書を使おうと、苦労せずに学力がつくはずがないのです。「学問に王道無し」というのはその通りで、学力がついている人は、しっかりと授業を受け、自習を通じて自分と向き合い、最後までやり続けられている人です。もちろん天才的な人はいることは知っていますが、私のような一般人はこのように学ぶしかないのです。
もし、「合理的な学習方法」というのが存在すれば、日本の学力問題などとっくに解決しています。しかし、そんな方法は存在しないので、コツコツ勉強するしかないのです。
私たちが皆さんに提供できるのは、良質な授業と十分な自習室です。たとえば現高校1年生の英語S(標準クラス)は、継続率100%です。誰も途中でドロップアウトせず、全員が1年生の課程を終えます。そして生徒数が100名足らずなのに約60席ある自習室。365日間開いている自習室は、学校や塾で学んだことを復習し、定着させていくのにぴったりです。
授業だけでは定着せず、自習だけでは成績が伸びるはずがないのです。特に最後の追い込みは、落ち着いた自習室で勉強できるかどうかで決まるといっても過言ではありません。当塾で学び、自習をし、そして高校・大学生になっていく皆さんを私たちは全力で応援していきます。
2025.01.04
Sアカデミーは千葉市美浜区にある緑色の看板が目印の学習塾です。小さな塾ではありますが、綺麗な自習室、面倒見のいい講師、全員が卒塾生のチューターを特徴とし、小学生から高校生まで多くの生徒が学習に励む場となっています。これから話すのはSアカデミーで成長していったある1人の生徒についてのお話です。
彼は現在、東京の大学に通う大学2年生。Sアカデミーのチューターとしてアルバイトをしています。彼は生徒思いの優秀なチューターですが、そこにはSアカデミーにかけるある思いがありました。
彼が初めてSアカデミーに足を踏み入れたのは中学2年生の冬。来年に受験を控え、塾探しをしていた時、見つけたのがSアカデミーでした。大手塾とは違い教室数は少なく、少し敷居の高さをも感じる塾に不安でいっぱいの中、教室の扉を開きました。いざ、授業を受けてみると、少人数クラスで先生と生徒が対話しながら授業が進んでいき、授業後には生徒の質問に親身に答える先生の姿が見られました。隣の自習室を見てみると、とても綺麗で各々の生徒が一生懸命勉強している様子がありました。「ここでなら頑張れそう。」そんな期待が膨らんだのです。
いよいよ中学3年生にあがり、受験勉強が本格的にスタートしました。しかし、練習が大変な部活に入っていた彼は、勉強を後回しにする毎日が続きました。自習もなかなかやる気が出ません。「やらなければいけない」と思いつつ、どうしても学習に実が入りませんでした。彼はそのまま受験を迎えてしまい、なんとなくの高校に進学しました。努力が実を結び、第一志望の高校に合格して喜んでいる友だちをよそに、彼はいまひとつ達成感を感じられずにいました。
高校に進学してからは新しい友達、新しい先生と出会い、新たな環境で学校生活を全力で楽しむようになりました。彼は高校生になってもSアカデミーに通い続けました。1年生の時は受験生の時のような緊張感はなかったものの、高校受験を共にした顔馴染みの仲間と先生がいる塾は温かく、通い続けるには十分な環境が整っていました。
月日は流れ早く、あっという間に彼は高校3年生になりました。通い慣れた自習室で勉強すると、不完全燃焼だった高校受験を思い出し、今度こそ最後までやりきりたいと受験勉強に身が入ります。しかし、大学受験というのは高校受験と比べものにならないくらい難しく、覚える知識は膨大で、知識を覚えただけでは歯が立たない応用問題に心が折れてしまう時もありました。先生たちは授業をするだけでなく、そんな彼を見守り、時には学ぶことの本質、意義を教えてくれました。このことは、高校生になった彼にはとても刺激的な学びでした。
大学生のチューターも親身になって勉強についてアドバイスをしてくれました。勉強だけでなく、心が疲れた時は気が紛れるような雑談もしました。チューターも全員がSアカその卒業生なので信頼ができて、勉強に励むことができました。みんな一直線に受験勉強をしてきたのではなく、やる気の出なかったとき、成績が伸びなかったときのことを話してくれたこと、そして最後までやりきることの重要性を教えてくれました。「最後までやりきれば結果は受け入れられる」という先輩の言葉が忘れられません。
努力が報われ第一志望の大学に合格することができました。そして現在、大学に進学してからはSアカデミーのチューターとしてアルバイトをしています。そんな思いで、日々頑張っています。高校受験でうまくいかなかった自分を見守ってくれたお母さに感謝をするだけでなく、うまく受験勉強が進まない中学生や高校生をサポートを自分がしたいと思っているのです。
Sアカデミーは単なる学習塾ではありません。失敗体験も成功体験も踏まえて人として成長していくことができる場所なのです。大学生になるとアルバイトだけでなく、いろいろな研修があります。生徒として勉強するという視点ではなく、勉強する生徒をサポートしていくという視点が身につきます。そして、各界で活躍する社会人の方からお話を伺う研修、授業を担当するときは先輩による授業研修、そして2025年からは海外研修まであります。小中高生として「学ぶ」だけでなく、受験を通じて最後までやりきることの大切さを学び、大学生としては社会人になるための基礎を身につけるという、人間として成長できる場所がこのSアカデミーです。