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2024.11.09

総合型選抜の増加から見る、これからの学びのあり方

2023年度の大学入試では、総合型選抜の割合が増え続けていることが話題です。国立大学では5.9%、公立大学で4.1%、私立大学で17.3%と、総合型選抜の割合が9年連続で増加し、東大や京大といった国立大学のみならず、早稲田大学や慶應義塾大学といった私立大学でも積極的に導入されています。この選抜方式の増加には、現代に求められる新しい学びの姿勢が大きく影響しています。

総合型選抜が増えた背景には、「知識を身につけるだけではなく、それを土台に思考力を深める」という狙いがあります。知識といえば、多くの情報がネット上にあふれ、調べること自体は簡単です。しかし、ただ知識を得るだけでなく、それをしっかりと咀嚼し、自分なりの視点で考え抜く力が求められているのです。人間の本質ともいえる「思考力」こそが、これからの時代に不可欠な力であるとされています。

総合型選抜の拡充を後押ししたのは、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(平成26年、中央教育審議会答申)や、「学習指導要領の改訂」(平成29年)です。これらは、生徒が主体的に学ぶ姿勢を推奨し、単なる一方通行の教育から脱却する方向性を示しました。知識を学び、それを自分なりに消化して自ら学ぶこと、これこそが新しい教育の大切な要素です。

教師側にも、生徒に寄り添い、個々の学びを支える教育理念が求められています。少子化が進む今だからこそ、一人ひとりを大切に育て、鍛えるためには、少人数授業や自主的に学べる図書館のような環境がますます重要になるでしょう。

また、現代では現代文の力、とくに自ら発信する力が求められています。社会で働く人にとって、プレゼン能力は必須ですし、説得力のある文章を書く力も重要です。特に「書く能力」はすぐに身につくものではありません。基礎から学び、相手に自分の考えを理解してもらえるような文章を作るためには、知識、思考力、そして国語力が求められます。

これからの学びには、主体的に知識を得て、自分で考え、発信する力が必要です。教育の現場でも、生徒一人ひとりに寄り添いながら、社会に通用する力を共に育む環境を整えていくことが不可欠だと感じます。