Chief blog塾長ブログ

2023.06.12

絶対評価と相対評価と公立高校入試

今から20年ほど前に、小中学校の評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わりました。「相対評価」とは、40人学級なら「5が3人、4が9人、3が16人、2が9人、1が3 」ときまっていました。一方、絶対評価なら「○○ができれば5,△△ができれば4」というように、「基準」に従って点数が決まっている、、、はずでした。しかし、現実は全く異なっています。

文科省のサイトにこのふたつのサイトの違いがあります。

強引に要約すると、「「生きる力」を育成することを重視」するので、「学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を見る評価を一層重視」する。そのため、「「集団に準拠した評価」(いわゆる相対評価)から、「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)に改めた」ということです。その思想は心から理解します。

ところが、絶対評価の「基準」が全く示されていません。すべてが抽象的で、現場に判断を委ねています。文科省が出しているものは「基準」ではなく、「規準」であり、音を同じにして世間を欺いているようにしか私には思えません。「評価の客観性や信頼性を確保する上でも、集団に準拠した評価によるよりも、目標に準拠した評価の客観性を高める努力をし、それへの転換を図ることが必要となっていること。」と文科省がいうのであれば、文科省自体が「評価の客観性」を具体的に示すべきです。

ここに現場の苦労があります。仕事や雑務が増える一方で、教員数は増えません。ひとり一人を見ることは大切ですが、その前提が守られていないという「経営者側」の課題を情熱で乗り越えている学校の先生に心から敬意を表します。

絶対評価が導入されたとき、中学校から送られてくる調査書(いわゆる内申書)を見ていると、その評価の平均が学校によってまちまちでした。ある学校は、「学校平均が4」のところもあれば、相対評価の数字を踏襲して「学校平均が3」のようなところもありました。そのため、合否ボーダーでは学力検査(入試)よりも、「どの中学校の出身か」できまってしまうという、入試の公平性が揺らいでいたのです。(現在ではほぼ是正されています)

他の都道府県ことはよく分かりませんが、千葉県は内申点の割合が低いので、影響は低かったのでしょうが、内申点の割合が高い地区は混乱があったでしょうね。